MAX EURO Challenge in Salbris/フランス 2007年3月25日(日)


ユーロチャレンジ決勝日は肌寒い天候の中ハーフウェットからドライで 行われました。
まず、朝1の公開練習の後、セカンドチャンスからです。
レース前不安そうなニコラスには「楽勝!お前ならやれる!」と言いましたがスタートだけは潰されないように祈りました。
ニコラスはセカチャンのポールから一気に飛び出すと混乱の間にマージンを稼ぎ逃げ切りました。
しかし、ラトビアから24時間以上かけて来たハラルドは落ちてしまいました。
彼ら二人やプロトレインの一貴はパルクフェルメの行き帰りにすれ違うごとに、励ましてくれたり、
コンディションを 教えてくれたりしました。

ボクの方はというと、プレファイナルで上がる予定がまたしても混乱に 巻き込まれ順位を落としてしまいました。
メカさんが見ていても体が硬かったようです。
気を取り直して走った決勝は何故か頭も冴えていてカートの動きがよく分かりました。
スロースターターです。
いつも決勝はちゃんと走っているのですが、そこまでがもったいないのです。
何故 かドライでゴムが乗ってくると目が覚めてきます。(笑)
後ろから結構 派手に抜いていくことが出来ました。
前方のカートとのタイム差があったのでとても楽しかったです。
タイムはトップと同じタイムが出ていて、最終コーナーをアウトからかぶせて抜いたりしました。
プッツンきたときのタッキーです。
ティムが計っているのを他チームの人たちが見て「なんじゃ、お前のドライバーは!」と言ってきたとティムが言っていました。

今週はレインでずっと乗れてなくて「ウォータードラゴンだろー、がんばれー」と笑われていました。
「タッキーの瀧山純平のチャイニーズキャラクターの意味は、 平和を愛する山に住むピュアなウォータードラーゴンだよ」って適当に教えてやったら
「water doragon!超かっこええ名前やな!」と言ってましたが、レインで遅いから・・・「ヘーイ、カモーン、ウォータードラーゴン!!」って有様です。
だから、ドライになってプッツン逝ってやりました。

決勝中、ビッグボスのウィリーはと言うと、ストレートで気合いを入れて応援してくれていて、
スリップに入って立ち上がってくると特に気合いを入れて「GO!GO!」ってやっているのが分かりました。
このあたりの感じ、P.D.B.ベルジャンのスタッフはなんか日本人みたいです。
ビッグボスはパドックではでっかい体で吸気ボックスをばらして洗ってくれているか、コーヒーを飲んでいるか、甘い物を喰っているかです。
まるでホンジャマカみたいな往年のドライバーウィリーですが、
ボクらが走るときはストップウォッチも持たないで気合い(のみ?)で応援してくれます。
決勝では後ろから抜いて上がったのでチェッカーの時は何故かウィリーが強烈にガッツポーズをしていました。
なんか浦沢直樹のマンガに出てくる外人みたいで笑けました。
そんなに順位は良くないのに嬉しくなってボクもつられて伏せながら手を挙げました。
レース後は「お前抜いていきながらめちゃくちゃ速かったなー、ドライドラゴン」とみんなに握手して貰って嬉しかったです。

ジュニアのレースはセカチャンで残ったニコラスとプロトレインの一貴、マラネロの小瀬君のレースです。
ニコと小瀬君はルーキーながらがんばりました。
一貴は後方から全て抜いて上がって、4位フィニッシュです。
同じチームのアルナーは絶賛で「名前なんだっけ?ヒラキヌ?ヒラムナー?」などと5回くらい言っていました。
かずき・ひらみねの速さはマックスヨーロピアンチャンピオンシップではもう知らない人はいません。
何というか不運なトラブルに見舞われて、最後尾からセナのように抜いて上がるからです。
それを証明するおもしろい話があります。

去年 平峰メカの忍者服部君はデジカメをもっていろんな面白い物を取ったりしながらパドックとパルクフェールメを行き帰りしていました。
みんなたいていスマイルなんですが、PEXレーシングのジョリー・ペックス君(ジュニア)のカートを撮影した時は別でした。
お父さんとメカのヨス・フェルスタッペンが出てきて、「デジカメの写真を全部消せ、今ここで、ナーウ!」と言って確認しながら全部消さされました。
今年はマスタークラスなので彼も永世中立国になったかなと思いましたが、うちのメカが何をやっているかかなりマーク警戒されていました。
プロトレインのエンジニアなんかも「あいつは何をやっている?」とずっと言っているみたいです。
速いドライバーのメカは警戒さ れますし、盗もうとされます。
そのくらいジュニアとシニアは戦争なのです。

レース後ニコラスがやってきて言いました。
「セカチャンで1位になっ たからヘルメットをくれ!」ボクは言いました「ネー(No)!ワッカードルフで1位になれ、そしたら必ずやる、約束する。」
ジュニアで1位になってくれたらホントにあげますよ。
そのくらい凄いことです。
スーパー速いのがいっぱいいるので彼にはまだムリです。
オランダのジョリー・ペックス、マッツ・バンデンブランド、イギリスのカズキ・ヒラミネ、エストニアのケビン・コールジャス、
オーストラリアのスティル・ジュリアーナ、オーストリアのダニエル・シェルネガーなどなど、予選を通るだけでも大変なこと、
今回も速いドライバーで予選落ちや下位に沈んだのが何人もいます。
今回我がP.D.B.チームのルーキー、ニコラス・クラエスは23位に終わりましたが、ドイツでは成長した姿を見せてくれるでしょう。

ゴール後パルクフェールメでオランダのギラードのパトリック(去年のゲンク以来調子を上げている。)が前だったので
「何位やった?」と聞 くと8位と言いました。
だからボクは9位フィニッシュです。「ジラードトレイン!」と言って喜んどでました。
こっちでは日本式に「ギラ〜ド」と言ってもニコラスに笑われるだけでした。
「ジィーラード」か「ヒィーラルド」(ベルギー人)でした。
リザルトは9位でしたが、タイムは3位でした。
「ずっとドライで安定してたらなー。」って言っても無駄です。
天候が滅茶苦茶不安定なのがサルブリスメイニューなんです。
いつもファイナルのスピードが速いのをみんな知っているので、ドライバーの中でなんとなく、タッキーポジションができあがっているみたいです。
「あいつ速いよ、来るんじゃない?来なかったなー。レース下手やし。安全パイよ。」みたいな。
くっそー!

というわけでレースも終わり、ティムと握手し、ビッグボスと抱き合い、サルディニアに帰る入れ墨ゴリラと抱き合ったあと(汗臭かった)、
更にパドックでだべりまくった後、パリに向かってレンタカーのルノーでかっとびました。
こっちのディーゼルはよく走ります。170キロでビレルからギラードから何から何まで抜いてやりました。
特に我がP.D.B.チームを抜くときには思いっきりクラクションを鳴らし続けてやったので「カーミカーゼ」とまた言われていることでしょう。
Report by Takiyama